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画紋工房

2008年12月にガタケット103(3月22日)に向けてなんとなく結成された二人組サークル『画紋工房(がもんこうぼう)』のブログです。コピー本を作ってガタケットにちょびちょび参加しております。

エレメントハンター エロ SS カー博士 エイミー カー。

 という感じのSSです。
 今回は残念ながらイラストありませんので、読む価値あんまり無いですな……w つうか前回いつだよ……。
 またもや漫画版エレメントハンターで、その後の話になります。前回の話とは無関係ですな。
 そんでまたプレイとかアレなので読んで気分悪くなっても責任取らないよ! ということで1つお願いします。
 ではでは!


No Words


「ん……」
 エイミー・カーはゆっくりとベッドから身を起こした。
 寝起きのためか意識がはっきりしない。
 妙に体が重いのが気になった。
 何かがおかしい気がしたが、何がおかしいのかわからなかった。
 脳裏で状況を整理する。地球再建計画は忙しいが、順調に進んでいる。
 視界にいつもの自分の服装が写った。ブラウスが少し皺になってしまっている。
 更に増した違和感に、視界を明瞭にしようとメガネを直そうとする。が、そこにメガネはなかった。
「え?」
 思わず声が出た。
 メガネを直そうとする癖は生前のもので、高度なデータAI化された自分にはもう必要がない。しかし、電脳世界のアバターにメガネはデフォルトでセットされている。
「博士~!」
 舌っ足らずの甘い声と共に、よく見慣れた少女が胸に飛び込んできた。抱き止めるが、その勢いでベッドに押し倒される。
「ゆ、ユノ?」
 満面に無邪気な笑みを湛えた少女に、エイミーは驚きの声を上げた。起き上がろうとするが、有機アンドロイドの体重はそれなりに重く身動きが取れない。ホログラフ体でユノを抱きとめる事は出来ないし、電脳世界内ではユノの重さに困ることはない。
 ようやく違和感の正体に気がつき、エイミーの口が小さく開かれた。
「……ま、まさか」
 喉から声が絞り出される。
「こうして現実世界で博士に抱っこしてもらえるなんて、ユノ感激ですぅ~」
 嬉しさの溢れるユノの歓声に、エイミーは驚愕を深くした。
「そ、そんな!?」
「バイオボディの心地はどうですかね? エイミー・カー博士?」
 声に驚いて体を跳ね起こすと、部屋の隅でトムが座っていた。椅子の背もたれ部分を前にして、そこに頬杖をついている。
「ど、どうして?」
「それは『どうやって?』ですかね? それとも『なぜ?』ですかね?」
 いつも薄笑いを浮かべたトムからは、感情が読み取れない。
 気分を切り替える癖で顔に手を伸ばしたエイミーに、傍らに座ったユノがメガネを渡した。度は入っていなかったが、かけると気分が少し落ち着く。
「素顔の博士も美人さんですけどぉ~、メガネをかけると博士って感じでユノは嬉しいですぅ~」
 感極まって両こぶしを胸の前で握り、ユノが上半身を左右に揺らす。
「『どうやって?』というのは簡単でした。ネット上で移動を繰り返す博士のデータは、捕まえる事が出来ずコピーも出来ない。が、移動先を誘導することは出来たんですよ」
 すっ、と伸ばされたトムの指先は、エイミーの頭を指していた。
 衝撃を受けるエイミーの太ももに、ユノがころんと横になって頭を置いた。
「『なぜ?』というのも簡単。ユノのボディから博士のデータを移動して、処理能力を上げてみたかった。なにせベンソン家の嫁ですから」
 ユノがエイミーの股間に顔を埋めるようにして笑う。
「やー。きもいですぅ~」
「まぁそれとユノがもっと博士とスキンシップしたい、と希望していたので、そうしてあげたっていうのもありますけど」
「その件に関しては感謝してますぅ」
「えーじゃあ結婚してくれる?」
「それはヤですぅ」
「じゃあデートしてくれる?」
「それくらいだったらちょっと考えますけどぉ」
「結婚前提でデートは?」
「やーですぅ」
 事実を受け止められず呆然とするエイミーをよそに、トムとユノが恋人同士のように笑いさざめきあう。
 おそろしく巨額の富と時間をかけて実行された、社会的メリットのない計画にエイミーはめまいを覚えた。
「高級ダッチワイフになった気分はどうだい? 先生?」
 嫌悪感を滲ませた声にはっとエイミーが顔を上げると、部屋の片隅に鋭い視線があった。
「……クロノ!?」
 安堵した声でエイミーがその名前を呼ぶ。
「良かった……無事で」
 ぽつり、と漏らされたエイミーの言葉に、クロノの怒気が膨れ上がった。
「……ねぇ先生?」
 ベッドの縁に膝をつき、クロノがエイミーに迫った。苛立たしさに歪んだ顔にねめつけられ、エイミーは顔を背けた。
「自分の体の心配をした方がいいんじゃないかなぁ?」
 ブラウスの前面が左右に荒々しく開かれ、ボタンが弾けて飛んだ。
「ひっ!」
 エイミーが悲鳴を上げる間もなく、今度は黒いブラが引き千切られた。
 ぶるん、と自重で乳房が震える。
 クロノの手がサーモンピンクの頂を包むように乳房を掴み、荒々しく揉みしだく。
「やっ、やめっ! やめなさいっ! クロノっ!」
 手を振り解こうともがくが、逆に押し倒されてしまう。
「先生は人間に戻ったわけじゃないんですよ? まぁ、データAIの時の先生も人間って言ったら語弊がありますけど。先生は今、良く言ってもものすごーくお金の掛かった高級ダッチワイフなんですよ?」
 クロノの指が、頂の突起を強くつまんだ。
「ひぎっ! 痛いっ!」
 エイミーが悲鳴を上げ、クロノから逃れようともがく。
「先生はもう、電脳世界にアクセスすることも出来ないし、非力で、僕を振りほどくことも出来ない。そして、痛みを感じて、恐怖して、心があって……人間じゃない」
 クロノがエイミーの瞳を覗き込み、エイミーはそこに、ただただ怯える自分の姿を見た。
「わ、私がいなくなったら、地球再生計画に支障が……」
 怯えた自分の姿から目を逸らすように顔を背け、震える声でそれだけ伝える。
 クロノが小馬鹿にした笑みを浮かべ、トムに顔を向けた。
「いらないんですよ、博士」
 相変わらず感情の読めない薄笑いを浮かべ、トムが言う。
「博士の保持していたデータはぜぇ~んぶ公開されましたし、ずっとユノたちと一緒にいればいいんですよ~?」
 ユノはにこにこと笑みを浮かべている。
「ユノはリアル美少女アンドロイドでもベンソン家の嫁にはなりませんけどぉ、博士はリアル熟女ダッチワイフでベンソン家の肉便器になったらいいかな~、って思ったりなんかしちゃったりしてぇ~」
 嬉しそうに話し続けるユノの言葉に、エイミーの顔が青ざめた。クロノは忌々しそうにトムを睨み付けている。
「えー、こほん」
 トムはばつが悪そうにわざとらしく咳払いすると、椅子から立ち上がった。薄笑いを顔からはがし、真摯な瞳でエイミーを見つめる。
「……人間の世界の舵取りを、人間以外のものが行う、っておかしくないですか? 博士?」
「そ、それは……!」
 エイミーは絶句した。後進のためにいつかは身を引かなければいけないとは思っていたが、情報体で死や寿命の概念が遠のいていたため、時期については全く考えていなかった。
「まぁ、確かに博士が抜けて計画に遅れは出るでしょうが、人間の世界は人間のものです。……以前から博士の存在を疎ましく思っている連中もいましたし、辞め時って事で」
 再び薄笑いを浮かべると、よっこいしょ、とトムが椅子に腰掛ける。
「博士ぇ~、ユノ、女の人がすっごい気持ち良くなれるって知ってるんですよぉ? だからぁ、これから博士にぃ、ずぅ~っと、す~っごく気持ちよくなってもらえれば、なんて思っちゃったりなんかしちゃったりしてぇ」
 ユノは恥ずかしそうに頬を染めて、もじもじと胸の前で手を組んでいる。
「先生は、僕が居なくなって寂しくって、お人形を作って可愛がっていたんでしょう? だから今度は、僕がお人形になった先生を可愛がってあげるよ……」
 クロノは拙い狂気を滲ませた目で、いとおしそうに声を弾ませている。
「いっ、いやっ!」
 恐怖のあまり闇雲に力いっぱい振った手がクロノに当たり、拘束が緩んだ瞬間、エイミーが這って逃げようとする。逃げる当てもないまま。
「……えー。ユノ、ショックですぅ」
「大丈夫、混乱しているだけだよ、マイハニー」
「ふぇえ~」
 ユノとトムのやり取りもエイミーの耳には届かず、恐怖のあまり立つことも思い浮かばず、ただ、ベッドの上を這い続ける。
「ひっ?!」
 足首を掴まれ、引きずり戻されたエイミーに、クロノが覆いかぶさった。
「裁きを受ける覚悟がある、とか言ってましたよね、先生?」
「あっ、うぅっ」
 エイミーはただ、束縛から逃れようともがく。
「先生のせいで元素消失が起きて、それで僕は孤児になったんですよ? 先生のせいで僕はひどい目にあった! いや、地球全体がひどい目にあった! どんな裁きを受ける気だったか知りませんけど、ちゃんと受けてくださいよ、僕の裁きを!」
「やっ……やだっ……ゃあっ……」
 幼児のようにエイミーは頭を振り、無駄なのもわからずもがき続ける。
「もー。聞き分けのない子はお尻ペンペンですよぉ~?」
 諭すように顔を近づけてユノが言うが、エイミーの反応は変わらない。
 ユノの言葉に、クロノがにやりと意地悪く笑う。
「そっち押さえておけよ」
「はいはい~ん」
 うつ伏せの状態でユノに上半身を押さえつけられ、エイミーは尻を高くかかげるポーズを取らされる。
 タイトスカートが生地の裂ける勢いで手荒に捲くられると、パンストに包まれた豊満な尻が露になった。
 勢いよくクロノの平手が尻に振り下ろされる。幾度も、続けて、尻肉が打ち鳴らされる。
「やっ、やめぇっ! ぎっ! ひぎぃっ!」
「先生が! 先生が僕をこんな目に! 僕をこんな目に遭わせてっ! 拾っておいてっ! また裏切って捨ててっ! 僕を捨ててっ! 僕をっ! 僕はっ!」
 エイミーの泣きじゃくる声と、尻肉が叩かれる音、クロノの独白が部屋に響く。
 興奮に息を弾ませながら、クロノの表情がいぶかしげなものに変わる。
 怪訝そうに自分の手を見つめるクロノ。エイミーを尻叩きしていたその手は、じっとりと塗れていた。
 エイミーのパンストの生地がぐっしょりと濡れ、なおも股間からぽたぽたと液体がこぼれていた。
 独特のアンモニア臭がゆっくりと充満していく。
「やぁあ……ごめんなさい……ごめんなさい……ゆるしへぇ……」
「……博士、おもらしですかぁ?」
 驚いているユノを押しのけ、クロノがエイミーの体を仰向かせた。
「ごめんなひゃい……ごめんなひゃいっ……」
 エイミーは鼻水をぐすぐす言わせながら、涙をぼろぼろと流して懇願し続ける。
 しゃくり上げるエイミーの口を、クロノの口が塞いだ。
「んっ?! ふぅっ……」
 逃げられないように頭と顎を押さえ、クロノが舌をエイミーの口腔へ伸ばす。
 ねろねろと舌が絡み、涎がエイミーの唇から溢れ、頬を伝い、シーツを汚した。
 エイミーが泣き止んでしばらくして、名残惜しそうにクロノが唇を離す。
「だ、だめぇ、クロノっ……」
 熱っぽいエイミーの声を無視して、クロノはパンストに手をかけると引き裂いた。
 剥き出しにされた股間はべったりと小水で塗れていたが、その奥は小水以外のもので塗れていた。
「やっ、やめなさいっ、クロノっ」
 クロノはもどかしげにズボンを脱ぐと、いきり立ったものをそこにあてがい、腰を進めた。
「ひぁうっ!」
 驚きの声の後半は湿った響きを帯びていた。
「あっ、あっ、だめっ! だめですっ! クロノっ!」
 クロノが腰を前後させるたびに、涙と鼻水に塗れたエイミーの顔が歪む。
「あ~、羨ましいですぅ~」
「マイハニーは次にさせてもらったらいいんじゃないかな?」
「博士、すごい人間っぽいですぅ」
 指をくわえたユノに見つめられ、二人はまるで混ざり合おうとするかのように腰を動かしていた。



「んーっ! オほぉーっ! おぅーっ! むぅうーっ!」
 薄暗い室内にくぐもった嬌声とモーター音が絶えることなく響く。
「博士どうですかぁ~? 気持ちいいですかぁ~?」
 ユノがにこにこと無邪気に微笑んで問う。
「おーっ! むぉおーっ!」
 エイミーのボールギャグで塞がれた口から、垂れっぱなしの涎と共に声が漏れるが、それが返事なのかどうかは分からない。
「気持ちいいみたいですね~」
 嬉しそうにユノはぐっしょりと塗れたハンディマッサージ機を掲げる。
 エイミーの目隠しされた顔から表情は分からず、ぎゅっと寄せられた眉だけが見えていた。ベッドにぺたんと尻をついて座ったユノの目の前で、エイミーはM字開脚の格好で拘束され、体をびくびくと震えさせていた。
「……なに? 電マ責めでずっとイかせまくってんの?」
 クロノが両手を組み、蔑んだ目でエイミーを見つめた。
 体中を身動きできないように拘束され、転がされたエイミーが、ベッドしかない殺風景な部屋の中で唯一目を引くモノだった。体液にまみれ、うごめく肉のオブジェがそこにあった。
「んふふ~。ちょっと凝ってるんですよ~?」
 自慢げに答えるとユノはマッサージ機のスイッチを切って脇に置いた。エイミーの股間に当てられたタオルはべったりと張り付き、ぷっくらとした恥丘の形を露にしていた。部屋の雑音がエイミーの湿った声だけになる。どろり、と名残を惜しむように愛液がタオル越しに漏れる。
「へえ?」
 オブジェを眺めていたクロノが、少し興味をそそられたように顔を向ける。
「イく寸前で止めて、またまたイく寸前で止めて~、ってやってると博士がイきたくてもイけなくて切なく切なくなって~。そこでイかせてあげるとすっっっごいイくんですよ~? もーすっごい可愛いんですう。おしっこ漏らしたり~!」
 ユノはその場面を思い出しのか、きゃー! と小さく悲鳴を上げると胸の前でこぶしを作って上半身を左右にくねらせた。
「ふーん?」
 口の端に苦笑を浮かべてクロノが答える。
「ね~? 博士~?」
 ユノはベッドに手をついてボールギャグに手を伸ばした。濡れたマットの手をついて沈み込んだ部分がぐじょりと音を立てて液体を滲ませる。
「んぼぉっ……。いっ、いがぜでぇ……。いがじぇでぇ……」
 ボールギャグを外した途端、口から多量の涎と湿った声が溢れ出した。呂律の回っていない言葉を無視して、ユノはアイマスクも外す。
「あーあ、ひっどい顔だね、先生」
 冷酷な笑みに嘲笑を加えて、クロノが言った。
「かわいいですう~」
 ユノは相変わらず満面に無邪気な笑みを浮かべていた。
「お、おにゃがいりゃからぁ! いかしぇてぇ!」
 涙に濡れた目で焦点も視線も定まらないまま、エイミーが言った。眉根は苦悩に寄せられているが、ボールギャグを嵌められていた口の周りは弛緩し、鼻水と涎を垂らし続ける。
「ねぇ先生、お願いって対等な相手にするもんじゃないかなぁ?」
 ずい、とクロノが顔を近づけると、エイミーの視点が揺れ、その暗い笑顔を捉えた。
「……く、くりょにょ?」
 びくん、とエイミーの体が震え、股間を閉じようと足が動くが、ベルトに動きを阻まれてわずかに体が揺れるだけだ。
「先生ってダッチワイフでしょ? ダッチワイフと人間って対等な相手なの? それとも僕がダッチワイフ程度の存在だってこと?」
 暗い笑顔のまま、声に嗜虐の悦びを加えてクロノがベッドの上ににじり上がる。
「しょ、しょんにゃこと……わしゃしぃ……」
 どろどろに体液で汚れた顔を、エイミーは悲痛に歪めて逸らす。乱れた髪が涎で頬に張り付いた。
 クロノはにやにやと笑ったまま更にエイミーににじり寄った。
 その手が股間から長く垂れたタオルの上に乗り、体重が掛かるとマットと共に沈み込んだ。
 わずかに、股間に張り付いたタオルが引かれる。
「ぉあっ!? あぁあぁ~っ!!」
 エイミーは長い嬌声を上げ、体を硬く緊張させて絶頂を受け止める。
 がくがくと体が痙攣したかと思うと、タオル越しに勢いの弱まった小水がほとばしり、吸水力のなくなったマットの下から液体が垂れる。
「おお~。またおしっこ出ましたよ~? 博士かっわいぃ~!」
 無邪気なユノの声に、クロノは苦笑した。
「ったく、しょうがない肉便器だな」
 わずかに小水のかかった手をエイミーの頭に向けると、頭髪でぐしゃぐしゃと拭く。
「あ……あっ」
 だらしなく舌を出してどろりと弛緩した顔に、わずかに表情が浮かぶ。呂律が回らないまま、何かを話そうとしているようだった。
「……ん?」
 クロノは不審そうに耳を近づけた。
「ありがひょう……クロにょ……」
 快楽に緩んだ顔にわずかに戻っていたのは、感謝の微笑みだった。
「……!」
 クロノの顔に一瞬、戸惑いの表情が浮かび、そして消えた。
「このっ……!」
 苛立ちの表情を浮かべたクロノが、エイミーに覆いかぶさる。
「きゃん」
 突き飛ばされてユノがこてんと転がる。
「お礼? お礼を言った? 僕が先生のお願いを聞いた訳じゃない! 先生が勝手に! 僕に断りもなくイったんだ! 僕は……僕は……」
 苛立ちの表情が戸惑いに変わり、そして、何かを探すように視線が宙をさまよう。
「あたた……クロノさん?」
 おでこをさすりながら身を起こしたユノの目が丸く見開かれる。
 二人の唇が、重なっていた。
「お仕置きしてやる……」
 クロノの視線はエイミーに向けられていたが、何か別のものを見ているように遠かった。
「……ひゃい」
 緩んだ微笑を浮かべるエイミーの唇は、開いたままだった。弛緩した唇は、ただ待って、濡れていた。
 クロノが慌しく着衣を脱ぎ、エイミーの体に重なる。
「……いいな」
 二つの荒い声と吐息が部屋を満たしていく中、ユノが寂しそうに、うらやましそうに、ぽつり、と呟いた。



『何勝手に撮ってるんですか~? トムさん! ぷんぷん』
 ユノがタブレットPCの画面で頬を膨らませていた。
 机に頬杖をついたトムの顔を、タブレットPCが下から照らす。
『いや~マイハニーがあんまりかわいいからさ~』
『え~……。イヤなんですけど』
 トムは動画をいつもの薄笑いを浮かべて見つめていた。
『まあまあそう言わず。ユノの新ボディの動作記録だと思って』
『も~しょーがないですねぇ……』
「……ちゅ……ぢゅむっ……ぁむっ……」
 動画の音声の他に、湿った水音が室内に流れていた。
「……むごっ! うぶむっ! げぼっ!」
 濡れた音がむせる声に変わると、トムは机の下に手を入れた。
 机の下には、エイミーが設置されていた。床に膝立ちの姿勢で拘束され、両手は後ろで纏められ、上半身をわずかに前後させる事しか出来ない。
 目隠しされ、苦しげに鼻水を垂らしてむせながら、エイミーにトムの男根を吐き出す自由はない。股間と乳首からは管が伸び、殆ど本来の役目を果たさない過激なデザインの下着と粘着テープがそれらを固定していた。
 机の下で、エイミーはただトムに口腔奉仕をする。それしか出来ず、それしか求められない。
 エイミーは肉便器としてその狭いスペースに設置されていた。
 トムはエイミーの頭を掴むと、自分の股間にその顔を押し付けた。
「……むっ……むぉっ……」
 むせる音はくぐもったものになるが、止まらなかった。トムはため息をつくとタブレットの音量を少し上げた。ユノの声が良く聞こえるようになって顔に薄い笑みを浮かべると、動画の続きを眺め続ける。
『……う~ん、じゃあ、ちょっとだけサービスですよ? はい、うっふ~ん』
「……むっ」
 トムが歯を食いしばって体を震わせる。
「……むごっ! むっ……おぼぉ……」
 口腔へと精液を流し込まれ、エイミーが小さく声を上げた。飲み切れなかった精液が鼻から溢れるが、精液を吸うのを止められない。
「……ふう」
 しばらくして、トムが椅子を引いた。
「……ほぐぉ……むばぁ……っ」
 男根が引き抜かれ、エイミーはえずきながらもどうにか口腔に残った精液を飲み込む。口の周りは精液と涎にまみれ、抜けた陰毛が頬に張り付いていた。再度開かれた口の中、精液をまとわりつかせた舌がねろねろと動く。ただただ行為を繰り返される道具としての穴が、そこにはあった。
 トムはタブレットに視線をやったまま、椅子をまた前に動かす。
 半立ちの男根を鼻に押し付けられて、エイミーはごくりと一旦喉を鳴らすと、舌先で精液を舐め取り始めた。トムは無関心にタブレットを操作している。
「んっ……あむぅ……じゅ……じゅほぉ……」
 丁寧に全体を舐めると、亀頭に小さく円くあけた口を当て、頬がへこむ勢いで尿道の中の精液を吸い取る。
「……ふぅ」
 トムは吐息をつくと椅子を大きく引いた。エイミーの口から男根が離れると、その唇と舌が突き出されたままその後を追う。
 鼻先の男根に舌を伸ばしているエイミーには無関心のまま、トムは机の上のティッシュで股間を拭いて立ち上がった。
「あ、あっ……お、おしゅかれひゃま……でひたぁ」
 名残惜しそうな声を漏らした後、エイミーは残念そうに呂律の回らない言葉を口にした。舌に絡みついた精液があまりに多量で、発声を妨げているかのようだった。
 トムは何も答えずドアに向かう。
 歩み去る足音に、エイミーは汚れた顔に苦悩を浮かべ、どろどろに濡れてうまく動かない舌をもつれさせ、声を発した。
「……あ、あにょおっ!」
 足音が止まり、エイミーの体がびくりと震えた。
「……肉便器は喋ったりしないんですけどね?」
 酷薄な笑みを浮かべて、トムが言った。エイミーは恐怖に体を丸めようとしたが、拘束帯が揺れただけだった。肉便器としてのルールを破った際のペナルティが、身に染みていた。
「ふっ、ふりゃりわっ! ふりゃりわぶじにゃのっ?」
 一旦閉じてしまった口をどうにかこじ開け、エイミーは叫んだ。
 トムが嬉しそうに微笑む。
「ふうむ。自分じゃなくて、二人の心配とはね……」
 エイミーは声をたよりに真摯な顔をトムに向けていた。
「クロノは頼みごとをしていて忙しいし」
 トムの言葉の内容に不穏なものを感じ、エイミーは喉を鳴らす。
「……ユノには頼まれごとをしていて忙しいし」
 口の端に人の悪い笑みを浮かべて、トムが言葉を続けた。
「……しょれはっ! おほぉっ! りゃっ、りゃめぇ! おひおきしにゃいれぇっ!」
 思わず口を開いたエイミーの口から出たのは、質問ではなく、嬌声だった。低いモーター音が部屋に響く。股間の、そして乳首の管が震えていた。
「ま、そのうち二人も来ますから。楽しみにしていてくださいよ、博士」
 タブレットを操作しながら、トムがドアに向かう。
「りゃっ! りゃめぇっ! ひやぁあっ!」
 部屋の中に、エイミーの悲哀の濃い嬌声と拘束帯の軋む音が充満する。
「りゃめてぇっ! もうりゃめへぇっ!」
 自らの発する音でトムが退出した事にも気付かぬまま、エイミーは部屋で一人、許しを乞い続けた。



「……ひへぇ? にゃ、にゃにこりぇえ……!」
 醜悪な硬いモノがエイミーの眼前で屹立していた。驚愕と混乱に呂律の回らない口から言葉が漏れる。
「どうですか博士~? ユノのおちんちん、かわいいですかあ~? 使わないときは収納可能! 便利なおちんちんなんですよ~?」
 羞恥に頬を染めながらも、ユノが嬉しそうに微笑む。
 ぺたんと尻をついているエイミーが見上げると、硬く、太く禍々しいモノの向こうにユノの無邪気な微笑があった。
 拘束を解かれたエイミーを待っていたのは、ペニスを隆々と屹立させたユノだった。
「あっ、ひやっ、ひやぁ……っ」
 エイミーは混乱と恐怖に逃げようとするが、長時間の拘束で体が痺れていてうまく動けない。
 小さく開き、涎を流したままだった口にユノのペニスが挿入される。
「……んっ! んむぅ~っ!」
 いくら抵抗しても、ユノはエイミーの頭をがっちりと掴んで離さない。抵抗むなしく、ゆっくりと、喉の奥までペニスが突き込まれていく。
「はあ~っ……! 博士のおクチで、ユノの童貞奪われちゃいましたぁ~っ……!」
 しっかりと掴んだエイーミのを前後させて、ユノは快感に体を小さく震わせた。
「いいっ! いいですう~! 博士のおクチ、気持ちいいです~っ!」
 ユノは蕩けた表情で腰を突き出し、びくびくと体を震わせながらエイミーの頭を腰に押し付ける。
 喉奥に精液が叩き付けられる様に射精され、苦しさにエイミーの目から涙がこぼれる。飲み切れなかった精液が逆流し、鼻水のように噴き出された。
「……はあ~。おちんちん気持ちいい……。トムさんにお願いしてつけてもらってホントに良かったですぅ~」
 感慨深げに呟くと、ユノはエイミーの頭をゆっくりと股間から離す。鼻から下を精液で汚したエイミーの顔を見て微笑む。
 汚辱にまみれたエイミーの表情には、複雑に絡んで渾然とした恥辱と快楽があった。
「オンナノコの部分もちゃんとつけてもらったんですけど~。やっぱり博士を気持ちよくするにはおちんちんですよね~?」
 にこにこと笑って問うユノに、エイミーは答えず口腔内に残った精液を舌で撹拌し、ゆっくりと飲み干した。ゆっくりと白い喉が動く。
「りゃっ、りゃめ、ゆにょ……」
 エイミーの唇は小さく開かれ、舌は突き出され、更なる凌辱を待っているようにしか見えない。痺れて口が閉じられないのかどうか、それはもうエイミーにも分からない。
 股間からはだらだらと蜜が溢れていた。自慰をしようと無意識に手が動くが、調教を思い出してびくりと止まる。
「……え~? 博士、気持ちよくなりたくないんですか~? オモチャ使うのとは違って~、ユノのおちんちんなら博士も気持ちよくなれるし、ユノも気持ちよくなれるし、いい事づくめなんですよぉ~?」
 ユノが濡れた筒先をエイミーの頬に押し付ける。唇が先端を咥えようと動くが、頭を掴まれて防がれてしまう。
「ね~? 博士のおまた、どろどろですう~。博士がちょっと素直になってくれれば~。博士もユノも幸せハッピーなんですけど~? うりうり」
 ペニスで頬の弾性を楽しむユノを、エイミーは悲痛な表情で見上げ、一旦唇を引き結んでまた開いた。
「わ、わかりまひた……りゅ、ユノにょ、しゅきなように……」
 好奇心と興奮で顔を火照らせたユノの視線から目を逸らし、エイミーはどうにか言葉を紡いだ。
「え~……。もっとちゃんとはっきりしっかり言ってくれないと分からないんじゃないかと思ったりなんかしちゃったりして~?」
 唇に指を当てて、ユノが小悪魔的な笑みを浮かべる。エイミーはじっとユノの瞳を見つめたが、そこには汚れ、疲れた自分が映っているだけだった。
 ユノはただ、エイミーに悲痛な目で見つめられても笑みを浮かべ続ける。
 エイミーは目を閉じると、上半身を後ろに倒し、股間をゆっくりと開いた。恥丘に手を伸ばし、左右の手でサーモンピンクの秘裂を開く。
「え、えいみーのおみゃんこに……おちんちん……くらひゃい」
 震えるエイミーの目から涙がこぼれ、ゆっくりと頬を伝った。
「や~ん! 博士かっわいい~! これこれこれがやりたかったんですよぉ~!」
 ユノの上機嫌な声に、エイミーがそっと目を開いた。その目が驚きに円く見開かれる。
「くっ、くりょにょ!?」
 ユノの後ろ、少し離れた場所からクロノが冷酷な眼差しをエイミーに向けていた。
「りゃっ、りゃめっ、みにゃいれぇっ!」
 エイミーの泣きそうな悲鳴にも動じず、クロノは表情の抜け落ちたような表情で、ただ冷酷な視線を向け続ける。
「てりゃ~!」
 ユノが掛け声と共に、エイミーの股間へと自らのモノを突き込む。
「おぅっ! おほぉおぉっ! いっ、いぐぅぅっ!」
 瞬時に達し、エイミーの表情が快楽に支配されてとろけた。
 快感に体をわななかせるエイミーを見つめたまま、クロノはぎりっ、と歯軋りの音を響かせた。



「ほら、皆に見せてみなよ、牝豚ちゃん?」
 クロノの楽しげな声に、エイミーは震える指で着ていたコートの前をはだけた。
 おおっ、という男たちのどよめきが安普請なホテルの室内を満たす。
 エイミーは思わず顔をそむけ、目を閉じていた。どよめきが収まり、そっと目を開けると、男たちの血走った目が視界の端に入る。何処かから連れて来られた粗末な身なりの男たちの目には、肉欲を満たす対象しか映っていない。
「何してんのさ。ちゃんと笑顔で挨拶しな」
 戦慄のあまり再び目を閉じてしまったエイミーに、クロノの容赦ない声が降りかかる。
「は、はひ……っ!」
 震える膝を開き、股間を前に突き出し、両手は顔の脇にピースサインを作ると、エイミーは最後に笑みを顔に張り付けた。
 体にはマジックで『ビッチ』『肉便器』『淫乱』『FREE SEX』など卑猥な落書きが所構わず施されていた。
「わ、私はっ……変態マゾ奴隷の淫乱女です……みっ、皆さん、宜しければおまんこお願いいたします……っ」
 張り付いた笑顔が引きつって、目の端に盛り上がった涙は今にも落ちそうだった。
「……マジかよ……!」
「ついてるぜ!」
「こういう変態ってほんとに居るんだなあ」
 再びどよめきが室内を満たす。エイミーはそっと唇を噛んだが、その股間はじっとりと濡れていた。
「んーまーもっと元気良く出来ないかなあって思うけど、皆さんお待ちかねだからいっかな?」
 椅子に座って脚を組んだクロノが鷹揚に微笑む。
「じゃ、まぁ順番にでもやってってよ」
 クロノが手をひらひらと動かすと同時に、男たちが殺到してエイミーをベッドの上に押し倒した。
「……ひっ!」
「ほら、大人しくしろ!」
「俺が先だ!」
「ちゃんとしゃぶれ! おらっ!」
 恐怖に引きつった悲鳴を上げるエイミーの口に手を差し込み、コートが破けるのも構わず乱暴に脱がせ、思い思いの穴に欲望で硬くなったモノを挿入する。
 クロノは軋む椅子に浅く腰掛け、背もたれに体を預けてじっと目の前の光景を眺めていた。
 関心のない目で、ただ義務のように暗い色の瞳がエイミーの痴態を映している。
 初めは遠慮がちに話しかけてきていた男たちも、クロノの気のない返事に応えるように、エイミーの凌辱へと熱中していく。
 クロノは部屋の中で周りとの接触を絶ち、ただ、エイミーの痴態を目に映していた。
 その目は何かの瞬間を待ち望んでいるかのようだったが、同時にそれが起こらないことを確認しようとしているかのようでもあった。
「……なあ兄ちゃん、コレって何時までOKなんだい?」
 へへへ、と下卑た笑いを浮かべて男がクロノの前に立った。凌辱は一周したらしく、部屋の中は幾分落ち着いた雰囲気になっていた。
「……そうだね、新しく人呼ぶってのは無しだね」
 男の質問を見抜いて、クロノは視界を遮られた苛立ちの表情に酷薄な笑みを乗せた。
「うっ……いや、俺らだけ楽しむのも悪いかな、って思って、さぁ。……へへへ」
 クロノの暗く湿った表情に圧倒され、男はそそくさと離れていく。しばらく男を睨み付けると、クロノは視線を元に戻した。
「おいおい……」
「お、ユルマンがきつくなって来やがった」
「ん……ぐぐっ……」
 にやけた顔の男から伸びた腕は、苦しげに呻くエイミーの首に掛けられていた。
 その光景を視界が捉えた瞬間、クロノは跳躍していた。
 体当たりで男をベッドの上から跳ね飛ばし、転げ落ちた男の腕をねじり上げながら拳銃を頭に突きつける。引き金に掛けられた指に力がこもった。クロノのその顔に表情はない。
「だ、だめっ……!」
 びくり、と引き金に掛けられていた指から力が抜けた。
 クロノは声のした方を驚いたように見つめる。
「だ、だめです……クロノ……」
 エイミーが、苦しげに喉を押さえ、小さな声を絞り出していた。
「い、いけません……っ」
 苦しげに咳き込んだエイミーに、クロノが駆け寄ると肩を抱いた。
「な、なんだ今の……?」
「……銃? こいつ銃持ってるのか?」
「なんなんだよ、一体!」
 快楽に赤らんでいた顔が急激に恐怖で青ざめ、男たちは我先へと出口へ殺到した。
「……大丈夫ですよ、クロノ」
 顔を上げてエイミーは微笑む。首を押さえる手は残った恐怖に震えて、目じりには涙が浮かんでいた。
 俯いていたクロノが顔を上げると、そこには侮蔑の表情があった。
「ふん、そんなにあいつのチンポが良かった? 先生? それとも人殺しはいけませんって? ええ?」
 言葉を投げつけられ、エイミーの顔から微笑が抜け落ちる。暗く沈んだ視線を落とすと、エイミーは言葉を漏らす。
「……私は……ただ……あな」
 エイミーの唇はクロノの唇でふさがれ、言葉はそこで途切れた。
 驚きの表情がやがて柔和な笑みに変わり、エイミーの唇がクロノの舌を受け入れ、くちゅくちゅと音を奏で始める。
「……お仕置きだよ、先生」
 クロノがエイミーを見つめて、エイミーだけをその瞳に映して言う。
「ええ、クロノ」
 エイミーはただ、微笑み、頷いた。



「ひどい体になっちゃったね、先生?」
 クロノの嗜虐的な声は興奮で上ずっていた。
「……はい」
 答えるエイミーの声もまた、じっとりと湿り、上ずっていた。
 汗ばんだ肌に、クロノの手が伸びる。クロノは二回り以上大きくなったエイミーの乳房を下から持ち上げた。手にずっしりとした重みが加わり、にやりと笑う。
「先生ってさ、前からおっぱい大きかったけど、コレだけ大きいってどうなの? 人間のサイズじゃないって言うか……。あ、ごめーん。肉便器だもんね」
「……はい」
 エイミーは胸を揉みしだかれながら、小さく吐息を吐いた。
 乳房を荒々しく扱われ、大きくなった乳首がその異様な姿をぷるぷると震わせる。
「乳首もこんなにおっきくなっちゃってさぁ! これじゃおっぱいの先からおちんちんが生えているみたいたいだよね!」
「ひぎっ!」
 乳首を指で勢いよく弾かれ、エイミーは小さく悲鳴を漏らすと体を震わせた。それでも、両手を頭の後ろで組み、股間を前に突き出した淫猥なポーズは崩さない。
「あ、おちんちんって言えばさぁ」
 クロノの手がエイミーの股間に伸びた。
「そ、そっちは……ひっ……!」
 びくっ、と体が跳ねて悲鳴が漏れる。
「こっちはさぁ、ほんとにおちんちんって言うしかないよね!」
 子供のペニスのように大きくなったクリトリスに手を当て、クロノがにっこりと笑う。とろとろとエイミーの股間から溢れた蜜が太ももを伝う。
「勃起して上向けば面白いのに、そういう風にはならなかったね……。人間そっくりに作ったからあんまり融通利かないって言うか……。まあ改造調教も面白かったからいいか……」
「……っ……ぉっ!……ほぉ……」
 不満げにため息をつくクロノの声は、堪え切れずに嬌声を漏らすエイミーには届いていない。
「これってクンニになるのかな? フェラチオかな?」
 屈み込み、口を小さく開けたクロノが吐息を吐きかける。
「……ぉぐっ!……ほぉお……!」
 がくがくと体を震わせて、エイミーが達した。蜜が一気にどろりと溢れ、体を避けたクロノの脇を小水がほとばしる。
「……あーあ、クリ触られただけでイっちゃったの? こんなポーズで立ったままイって小便漏らしちゃうんだ?」
「……はひ……っ」
 クロノに覗き込まれ、エイミーは涎と鼻水まみれの顔を背けた。弛緩した顔に羞恥の赤みが淫靡に映える。
「もう二度と普通の生活には戻れないね」
「……はい」
 クロノはじっとエイミーを見つめた。視線に気付き、エイミーはクロノを見つめ返す。
「一人で出歩くことも出来ないね」
「……はい」
 二人の視線が絡み、ゆっくりと顔が近づく。
「一人では……」
 ゆっくりと言葉を吐き出したエイミーの唇を、クロノの唇が塞いだ。



 薄暗い殺風景な廊下を、トムはタブレットPCを操作しながら歩いていた。
 手を休め、歩みを止めるといつもの笑いを浮かべたまま、振り返る。
「どうしたんだい? クロノ? 何か用かい?」
 すぅ、と暗がりからクロノが闇から溶け出したように姿を現す。
「へぇ……中々やるもんだね、トム」
 暗く淀んだ眼を残忍に歪ませてクロノが笑う。かつかつと靴音を響かせて歩み寄りながら、クロノはトムを睨み上げる。
「いや、用って程でもないんだけど、トムが何を考えているのか気になってねぇ……」
 装着したリアクター・クローの切っ先を弄びながら言うが、トムの顔色は変わらない。
「そうだねぇ……。今は地球再生計画の事で頭がいっぱいかな?」
「……とぼけやがって」
 クロノは舌打ちすると、ゆっくりと、ゆらゆらと舞うようにトムの周りを歩き始める。
「何のために先生に体を与えたんだい? そしてなぜ僕にコンタクトを取った? ユノのボディ再生、カー博士のボディ開発、そして大量のデータ導入。……ベンソン家の財力を持ってしても苦難のプロジェクトに、どんな意味があったのかと思ってねぇ」
「博士のデータは役に立っているし、クロノがエージェントとして働いてくれて助かってるよ?」
 背後に回ったクロノに振り返りもせず、微笑んだまま淡々とトムは答えた。
「食えねぇ男だな……。どう考えてもそれに見合うメリットはないよな? トム?」
「長期投資だよ、クロノ」
 苛立ちを募らせていくクロノと、飄々としたトムの会話に空気が張り詰めていく。クロノの顔から表情が消え、ゆっくりとクローを眼前で構えた。
「……ちっ」
 眼の端を廊下の先に向けて、クロノは舌打ちすると構えを解いた。トムも視線をそちらへと動かす。
「あ~。いましたいました~。クロノさ~ん」
 とてちとてちと軽い足音を響かせて、ユノが小走りにやって来る。
「ね~。一緒に博士の所に行きましょうよ~!」
 にこにこと笑って腕に絡み付いてくるユノを、クロノはうんざりとした表情で見つめる。
「嫌だよお前帰れ」
 冷たく言葉を投げつけられても、ユノの反応は変わらない。
「え~。一緒に行きましょうよ~。博士、クロノさんと一緒の方が嬉しいみたいなんですよ~」
 う、と言葉を詰まらせたクロノに、ここぞとばかりにユノが腕を引っ張る。
「ほらほら~。一緒に博士の所に~!」
「……わかった! 引っ張るな馬鹿!」
 ユノに引きずられるようにしてクロノが歩き出す。
 トムとすれ違いざま、クロノは尖った言葉を小さく吐き出した。
「先生に何かするつもりなら、覚悟しておけよ」
 残忍な音色を帯びた言葉にも、トムの顔色は変わらない。ただ、その顔にはいつもの笑みがあるだけだ。
「ね~、何の話ですかぁ~」
「お前には関係ない」
 明るく笑うユノに腕を引っ張られ、仏頂面のクロノが廊下を進んでいく。
「するといえばアレしましょうよ、おなかがぱんぱんになるやつ! 博士に赤ちゃんが出来たみたいでドキドキしましたぁ」
「ああそう」
「あ~も~おにいちゃんったらつめた~い」
「ああそう」
「お兄様……にぃに~」
「ああもう行くぞほらっ」
「わ~い!」
 クロノが腕を振り解き先を歩き始めると、ユノが万歳をして後に続いた。
 二人が姿を消すのを見送ると、トムは歩きながらタブレットに眼を戻した。
『やぁマイハニー。今ここにクロノが来ているんだけど、一緒に博士の所に誘ったらどうかな?』
 位置情報つきのメッセージを削除して、更にユノの現在情報から二人がエイミーの所に向かっているのを確認すると、部屋に入った。
 データディスクでいっぱいの書斎の中、人間工学を配慮された椅子に座り、トムは自動的に点いたPCのモニタへ眼をやる。
 視線で操作すると、薄汚れたベッドの上で絡み合う三人の姿が写った。
『博士~ちゅ~』
 眼を閉じてキスをねだるユノから、エイミーは視線をクロノに写した。ぷい、と視線をかわしたクロノの唇に、エイミーが唇を重ねる。
 驚きに小さく眼を見開くが、クロノはすぐにエイミーを受け入れて舌を交わらせる。
『あ~おにいちゃんずるい~』
 ユノがぱたぱたと手を動かして抗議すると、エイミーが唇を離して今度はユノにキスをした。
『えへへ~』
『ほら、ぼけっとしてないでとっととお尻に入れろよ』
 満面に笑みを湛えて満足げなユノに、クロノはいらだたしげに言う。
『はぁ~い』
『ばっなにやってんだお前! 先生のだ! 先生のお尻だ!』
『くすっ』
『なっ……なんだよっ』
『いえ……』
『くそっお仕置きだ! お仕置き!』
『博士~! いっぱいいっぱい気持ちよくしてあげますからね~』
『はい、二人とも』
 モニタの中で言葉のない睦み合いが始まる。その光に照らされるトムの顔からは、笑みが消えていた。
 トムは自分に欠損を感じていた。
 心の欠損。
 他人に共感するという、社会生活を営む上で重大な欠損をトムは持っていた。
 エレメントハンターとなる検査の際見つかった脳科学的な異常は、トムの高い能力で不問とされ、極秘になっていた。
 感情のある人間を演じなければいけない社会から逃れるように、トムは人間以外のものに耽溺した。鉱物は、機械は、トムに心のある反応を求めない。興味のある分野は博士号を取るまでに習熟した。
 そして、善悪の区別なく行動するトムは成功した。恨みを買いながら。
 トムはモニタを見つめたまま、思考を巡らせていた。
 人でなし、と言われる場面が今までに多々あった。
 なるほど心のない自分は人間ではないのだ、と、なじられ、怒鳴られ、泣かれながらただ納得する。
 ユノの『トムさんはなんかイヤ』という反応は、トムが感情らしい反応を反射的に演じていることに気がついているからかも知れなかった。
 自分がユノに惹かれる理由が、その逆の部分だと思い当たってトムは頬を掻いた。
 部屋には三人の吐息が、切れ切れに乱れた言葉が響く。
 心に形はあるのか? 形を与えると壊れてしまうから、あの二人は感情を言葉にもせず、ああやってお互いを求め合い、確認し続けるのだろうか?
 アンドロイドであるユノに本当に心はあるのか? 人が究極的にQEX化すれば本当に心はなくなるのか?
 人でなしのトム、人になりたいユノ、人だったエイミー、人ではなくなりつつあるクロノ。
 心はどこにあり、生まれつつあるのか、それとも死につつあるのか。
 トムの好奇心からのみ発生した実験は、緩やかに進んでいる。
『……先生! 先生っ!』
『……クロノ……!』
 自分の上で果てたクロノの体を、エイミーはぎゅっと抱きとめた。
 クロノを抱きしめるエイミーは、ゆったりとした笑みを浮かべていた。
 全てを抱きとめる微笑み。
 母性が持つ、慈愛の微笑み。
 心が生まれつつある、と直感的に納得してしまった自分を不審に思いながら、トムはディスプレイを消した。



「お邪魔します~」
 部屋に入ると、ユノは椅子に座り込んだ。足で床を蹴って椅子をくるくると回す。
 体は元気良く動いていたが、その目は伏せられて頬が小さく膨れていた。
「どうしたんだいマイハニー? つまらなさそうだけど」
 トムから未来オレンジを受け取ると、ぷう、と頬を大きく膨らませてユノが口を開いた。
「クロノさんが博士を独り占めするんですう。ぷんぷん」
「まあ、クロノは博士と色々あったからね……」
 トムは苦笑して自分の未来オレンジの封を切ったが、ユノは手にした未来オレンジをじっと見つめていた。
「わかってるんですけど~……。わかってないっていうか~」
 はふう~、ため息をつくユノに、トムは小さな驚きを持って呟いた。
「すごい人間っぽいよ、ユノ」
「ほんとですかあ?」
 ぱっ、と嬉しそうに微笑んでユノが顔を上げ、トムは苦笑した。続けてその顔が照れたように上目遣いになる。
「あ、あの……人間っぽいと言えば~」
「なんだい? マイハニー?」
 もじもじと手を弄び始めたユノに、トムは優しく声をかけて先を促す。
「博士とクロノさんの赤ちゃんって、できますよね?」
 トムは想定外の質問に一瞬きょとんとしたが、すぐにその顔に笑みが戻った。
「そうだね、今度できるようにしよう」
 実験を発展させるための布石として、トムは下調べを行っていた。エイミーの今のボディはユノの体内にあったポータルを含む遺伝子サンプルを使用していたし、クロノは変質しているとはいえ元が人間なので、調整だけで済む。
「ほんっとですかあ~! きゃ~やった~! 博士とクロノさんのお子さん! 遺伝子を持たないユノには真似できません!」
 万歳した後に両こぶしを顔の前でぎゅっと握り、上半身を左右に振って大喜びするユノを見つめ、トムは胸の奥に温かいものを感じた。
 口が自然に開く。
「作ろうか?」
「え?」
 ユノがきょとんとトムを見上げた。
「ユノの遺伝子は作れないけど、妊娠できるボディを作ろうか?」
 きょとんとした表情の頬に赤みが差し、ユノはうつむいた。
 言葉を飲み込むように唇を内側に巻き込んでむにむにと動かし、上目遣いにトムを見つめる。
 その小さな手は下腹部に添えられていた。
「私が、赤ちゃんを……?」
 ユノの呟きに、トムはゆっくりと頷いた。
 ぱあっ、とユノの顔が綻んで、花が咲くように笑みが浮かんだ。ただただ、喜びを享受する、感情をストレートに発露させた満面の笑み。
 その笑みを、胸の底から湧き上がってきた笑みだと感じる自分に、感じさせてくれるユノに、トムは心を感じ、いつものように演じるのではなく、ごく自然に微笑んでいた。



おしまい



「マイハニー、僕の子を産んでくれるかい?」
「え~……それはちょっとイヤ」



「それだったらクロノさん孕ませますう」
「ええー……」



ほんとにおしまい

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  1. 2014/08/09(土) 23:21:39|
  2. もはや無法地帯
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